
写真展
井上佐由紀写真展「はじまりと終わりに見る…
2025年10月31日(金) -
2025年12月21日(日)

終了しました

SNOW MOUNTAIN #01 / LAND © 2020 Mikiya Takimoto
京都を舞台に、第8回目となる国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2020 Associated programs」に瀧本幹也氏が参加。
名庭『雪の庭』のある妙満寺にて、雪のマテリアルの写真を展示。
CHAOSとは_太田菜穂子(キュレーター)
“混沌”と同時に、“次なる世界の誕生の予兆”を意味します。
あらゆる場面において、既存の価値観や基準では解決できない閉塞感が世界を覆い尽くすかのような現在、私たちは未来に向けて地球の根幹を成す原則、価値の基準、そして“美とは何か?”を、深く考え、再定義するタイミングに立たされています。
写真家 瀧本幹也の作品、ここには日本人のDNAのひとつ『枯山水』に通じる究極にまで削ぎ落とされた“強靭な美の姿”がはっきりと読み取れます。江戸時代より名園として高い評価を得てきた妙満寺の「雪の庭」を起点とし、『CHAOS 2020』は、寺院という生と死が共存する空間で全く新しい写真との時間となるはずです。
展示構成
妙満寺の名庭『雪の庭』が投げかける“美のあり様”を起点とし、隣接する大書院の空間を現代の世界の姿に見立て、写真と映像で、日本建築に通底する美意識のひとつ『枯山水』の作法に則り、21世紀的な世界観で空間を構成します。書院空間に流れた「過去の時間」、その堆積を想起させるレイヤーのあるインスタレーションと「現在」と「未来」が並列する空間構成で、より深い思考と想像へと誘う空間を創出。
"リアリティ”の美しい体験_平野啓一郎(小説家)
ハンナ・アレントは、『人間の条件』の中で、ガリレオが天体望遠鏡という「道具」を用いて地動説を証明したことの意義を、最大限に強調している。――なぜか?
「それ以前人間は、自分が肉体と精神の目で眺めたものに忠実でありさえすれば、リアリティと真理は、おのずから感覚と理性にその姿を現すであろうと信じていたが、結局、その間、人間はずっと欺かれていたことになる。」
一体、天が動いているのか、地が動いているのか? 感じるままに世界を受け止めることが正しいのか、それとも、頭の中で構想した姿こそが、この世界の真相か?――そんな論争は、実は不毛だったのである。なぜなら、世界は、理性と感性にプラスして、道具を用いなければ、決して明かすことのない本当の姿を隠しているのだから。その極小の場所から極大の場所に至るまで。生身の人間は、この事実を突きつけられた瞬間から、世界のリアリティから疎外されることになった。
これがアレントの主張である。
今回、展示が予定されている瀧本幹也氏の作品を眺めながら、私は、このアレントの言葉のことを考えていた。
瀧本氏のカメラは、つまりは、我々の感覚と理性とが捉えきれないリアリティを開示する現代のガリレオの天体望遠鏡だろうか? しかし、彼の写真は、その〝発見〟で世界から私たちを疎外し、いよいよ心細く孤立させるのではなく、むしろ数百年かけて、疎外されていること自体が自然となってしまった私たちを、再びリアリティへと橋渡ししてくれる。(中略)
「SPACE」のスペース・シャトルは、一方に人間の社会があり、他方に地球があり宇宙がある、という私たちの分裂しがちなリアリティを、巨大な力で縫合する縫い針のようである。それと、一見無関係のようでありながら、対をなすものとして構成された「LAND」は、今現在、実在している風景でありながら、人間登場以前の始原の地球と、宇宙の彼方の、地球と相似的な惑星とを同時に夢想させる。
東日本大震災を経て撮影された「GRAIN OF LIGHT」は、その地球が地球たる所以である海を、不穏なまでに人間の気配を排した視点で、轟音ごとフィルムに定着させている。この仕事は、更に「SURFACE」へと受け継がれ、波を動かす地球の風と月の引力、そして地底の活動とが、油彩の抽象画めいた白浪によって儚く、しかし、巨大に表象される。「FLAME」に閃く、硫黄ガスが大気中で発火する現象は、地球の微かな息遣いのようであり、その繊細な光の揺らめきは、「LAND」の広漠たる風景とは対極的ながら、いずれも、私たちの住処としての地球の素顔を垣間見させ、慄然とさせる。
私たちは、一体今、どこで生きているのか?
これらの写真を前に立ち、小さな者として、途方もない宇宙的な時間の一瞬に震え、同時に、自らの存在の中に大きなものが美しく流れ込んで来るのを感じる時、私たちは静かにそう問う。
こここそが、私たちの新しいリアリティの足場となる。
公式サイト:https://www.kyotographie.jp/exhibitions/mikiya-takimoto-1/
※まだまだ移動するのが容易でないことを鑑みて、Matterport(実空間を3Dスキャンする撮影方法)でのオンライン展示が発表されました。各作品の解説文、会場写真と合わせてご覧ください。(10/2)
CHAOS 2020:https://my.matterport.com/show/?m=WdMqfcnqj3T
LAND SPACE 2020:https://my.matterport.com/show/?m=akTYGE7QKhD
- 南の間 -

南極大陸の大地をパノラマ4×5大型カメラで撮影した7連作品です。
2006年撮影した作品で長いこと未発表でしたが、コロナ禍の状況を受けて初展示になりました。
「過酷で険しい冬の状況を乗り越えて、穏やかな春の季節を迎え花を咲かせましょう」という願いを込めて、「南の間」の奥に1点「菜の花」の作品を添えました。
2020年4月自粛期間中に撮影した最新作になります。
- 中の間 -

妙満寺には名庭「雪の庭」が存在します。俳句の祖といわれる松永貞徳(1571-1653)の造営した枯山水の庭です。
この「中の間」は、日本建築に通底する美意識の「枯山水」の作法に則り、雪の降り積もった山肌をテーマにした写真作品を枯山水の石に模し、そのお庭を散策して観てまわる回遊式庭園とする体験が出来る展示になります。
雪が解けて漆黒の積層火山の山肌が、また枯山水に配された石の様にも見てとれます。
床に展示された大小8点の作品の先には、襖絵を展示しております。
日本美術の水墨画に習い、写真作品が極限まで省略の美意識に近づくことが出来るかを体現する試みになってます。
表具師であり日本の伝統工芸士の佐々木惇三氏に襖の製作を依頼し、今回の展示の為に特別に製作した襖絵作品となります。
大書院では600年以上の時空を越えた過去の時間を感じる中で「現在」と「未来」へと想いを巡らせる空間を体感いただけることでしょう。
柔らかな自然光と、そよ風に包まれながらご鑑賞ください。
- 北の間 -

海は幾度対峙しても飽きない被写体です。これまでも定期的に撮影を行なってきました。
ですが、東日本大震災を経験してしばらく撮れないでいました。
あまりにも突然身近に起きたそれは、地球内部の地殻プレートが動き引き起こした地震と、更に東北沿岸部を波がさらった津波という、まさに地球の活動でもある天災でした。
地球規模の時空感覚に想像をシフトさせると、地震と津波は周期的に必ずといっていいほど起きていて、地球という惑星からしたら呼吸しているのと同じくらいの事なのかもしれません。
そんな想いから2013年の夏に赤道直下の国に赴き、海の波動をテーマに撮影を再開しました。
『GRAIN OF LIGHT』と題したこのシリーズでは、地球表面を覆い包み込む海。堪えず揺らめく悠久な時間を夢見ることとなりました。
海を憎み。許す。
繰り返される波の動きに呼応するかのような写真は、神の目線というとおこがましいですが、自らが撮影したというより、自然を畏敬し一体となり無我の境地で没頭し撮影したものになります。
海の表情を人間の視点ではなく、地球規模の俯瞰した視点で捉えたかった事と、4×5機材を使用したかったので断崖絶壁な場所をGoogle Earthで探して撮影しました。
「陽の光が海面の揺らぎに反射して幾千もの光の粒をつくる。常に動き続けるこの必然的な行為は、二度と同じものがうまれ得ない瞬間的な奇跡の連続でもある。原初の地球から果てしなく続いていく行為、その刹那の光の粒を大切に露光してみようと思いました」
- 下の間 -

- 上の間 -

地球内部からのエネルギーの捌け口である火山に惹かれ、これまで地球という惑星を撮影してきました。
左からアイスランドで撮影した作品『LAND co.kyu』は、大噴火のあと溶岩が流れ出て荒廃したあと、そこに苔が生え再生している過程、状態を捉えたものです。
その隣の漆黒の大地がむき出しになった南極大陸の作品『LAND antarctica』の2点は、あたかも宇宙船から惑星を見下ろした、もしくは無人探査機から送られてきた画像のような見え方を意識して、特殊なフレーミングで展示しています。
さらにその奥の借景窓からは、今も絶え間なく地球内部から硫黄ガスが噴出しているブルーファイア現象を捉えた作品を展示しています。
借景で囲まれた狭い空間の中に、広い世界、雄大な小宇宙を表現しています。
地球が恒星になり損ねた未練のように儚げなその「光」は、スケールこそ違いますが、星の集合体、星雲の「光」のようにも見てとれます。
天体が自然に発しているという点では同じ質の「光」なのでしょう。
正面の漆喰の壁面をスクリーンとして映像作品『SURFACE 2017 Video Installation』を4800×2300mmの大画面で4Kプロジェクションしています。
これまで圧倒的な地球の風景をまえにして、その生命力に何度も息を呑んできました。
しかし新型コロナウイルスというミクロな生命体の出現により、この地球すべてが混乱しています。
ミクロとマクロ、いずれから迫っても、今自分が立っているこの場所が宇宙から続く大きな生命体の一部であることを感じさせて興味が尽きません。
自然が人間には決してコントロールできない存在であるところも、撮りたいという衝動に駆られるのかもしれません。
混沌を意味する“CHAOS 2020”と題し、新たな地球のイメージを見出すきっかけになればと思います。
- 三畳間 -

本来「枯山水」とは水を用いずに石組みを中心に構成された庭のことで、石や白砂などによって山水の風景を表現する庭園様式のことです。
今回のインスタレーションでは、透明無垢の庭(1000mm×2000mm×50mm)を水面に見立て写真作品『SURFACE#01』を映り込ませています。
その上に光学ガラスを庭石の様に配し、中を覗き込むと地中深くから吹き出す火山活動を記録した映像が浮かび上がります。
この三畳間では、光の「透過」と「反射」を取り入れた作品『透過と反射 枯山水 SURFACE#01』が宇宙空間へと誘い、より深い思考へと導いてくれることでしょう。
協力:アクリアル / FLAT LABO / 京都精華大学 / 佐々木墨彩堂 / 新潟漆器 / 日東装備 / フレームマン / 三保谷硝子店
展示機材協力:キヤノンマーケティングジャパン
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同時期開催展
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020 Associated Programs
「LAND SPACE 2020」

原初の地球「LAND」と対峙する、最先端文明の象徴「SPACE」からなる代表作「LAND SPACE」シリーズに未発表作品を加え、「LAND SPACE 2020」として祗園のギャラリースペース・Sferaで発表
日時_9月19日(土)- 10月18日(日)
時間_12:00 - 18:00(想定)
会場_Sfera
住所_京都市東山区縄手通り新橋上ル西側弁財天町17 スフェラ・ビル
入場料_500円(KYOTOGRAPHIEパスポート提示で200円)
休日_水・木曜日(*状況により急遽時間変更をする場合もございます為、最新の情報は下記ウェブサイトをご確認ください)
会場ウェブサイト_http://www.ricordi-sfera.com
KYOTOGRAPHIE 公式サイト:https://www.kyotographie.jp/exhibitions/mikiya-takimoto-2/
※両会場ともに、KYOTOGRAPHIE開催日程と同じ、10/18(日)までの会期延長となりました(9/25)
2020年09月19日(土)-2020年10月18日(日)
9:00 - 16:30
一般 ¥500(¥400)、小中学生 ¥350
※( )内は20名以上の団体料金
※入場は閉館の30分前まで
妙満寺 大書院
京都市左京区岩倉幡枝町91
叡山電鉄「木野」駅徒歩5分
地下鉄烏丸線「国際会館」駅から徒歩20分
2025.10.16
2025.09.01
2025.07.11
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