ゼラチンシルバーセッション | Gelatin Silver Session - Save The Film -

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[ゼラチンシルバーセッション・富士フイルム 意見交換会]

2012年10月にゼラチンシルバーセッションに賛同する写真家と富士フイルムとで2回目となる意見交換会を行いました。

日時:2012年10月15日(月)18時~20時
場所:富士フイルム社内会議室

参加者(敬称略)

写真家
井上佐由紀、片桐飛鳥、操上和美、小林昭、瀬尾浩司、今道子、泊昭雄、中野正貴、中藤毅彦、平間至、広川泰士、広川智基、藤井保、本城直季、三好耕三、村越としや、森本美絵

富士フイルム
富士フイルム㈱ イメージング事業部 坂田部長 日吉課長
富士フイルムイメージングシステムズ㈱ 松本部長、石原部長、(GSS担当 勝原、島田)

実行委員
佐野恵子、外山輝信、野地あかね

意見交換会

広川泰士
GSSは、2006年に活動を始め、今年で6回目を迎えたが、賛同参加写真家もどんどん増えて、今回、亡くなられた方3名を含む51名に参加していただいた。アンケートなど来場者の意見を見てみるとじわじわとではあるが、長く続けてきた甲斐があるなという手応えは感じられる。若い方、フィルムなどの知識のない人にもオリジナルのプリントを直に見せるということでかなり影響を与えてきた実感ある。けれども回を重ねるごとにフィルムは、どんどんなくなってきているので、選択肢のひとつとして次の世代、これからもフィルムで表現したいという人のためにも印画紙やフィルムなど残ってほしいと思って続けている。
写真家がこれだけ集まることもそうそうないのでこの機会に忌憚のないご意見をお互いに交換して、現場の使われ方をメーカーとして理解してほしい。

銀塩感光材料を取り巻く環境

広川泰士
映画フィルムを製造中止とのニュースを聞きました。スティル写真のほうはどうなのか、富士フイルムの今後の見通しをまずは伺いたい。

富士フイルム
映画フィルムの生産終了のアナウンスを行いましたが、スティル写真フィルムは継続していきます。スティル用フィルムも、需要はピーク時から大幅に減少していて、事業は厳しい状況にありますが、その中で、どうやってフィルムを長く残すかを考えています。本日は、皆さんのご意見を聞きながら、我々に出来ることを探っていきたいと思います。

藤井保
利益を追求する企業としては、売上が落ちていけば生産をやめていく、合理性から言えばそれは仕方ない。ただ、考え方としてたとえば社会貢献的に(採算を度外視しても)フィルムを残していくということは、富士フイルムとしてありうるのか?使う人が減っているのは誰が見ても明らか、それでも残していく姿勢があればいいなと期待するのだが。

富士フイルム
フィルム文化を残すために最大限の努力をするというのは、会社としての基本的な姿勢です。我々事業部で働くものもその思いは持っており、何を写真文化ととらえ、どこまでを守っていけるのかを考え、事業性と社会貢献の両方を見据えて考えていきたいと思います。

銀塩写真材料の販売数量の推移を見ながら

富士フイルム
目で見て頂いた方がよいかと思い、国内の製品出荷の推移のグラフをお配りします。この7年間、GSSと一緒に活動をしてきているが、需要は減り続けているのが事実。平成17年から24年まで、こんなスケール感で国内出荷は落ちてきています

広川泰士
モノクロ印画紙販売量推移には、RCもバライタも含んでいるのか?バライタの需要はどうなのか?

富士フイルム
含んでいます。平成18年は、他社が撤退したので一時的に数字が伸びたように見えますが、需要はピークの1/10以下になりました。

広川泰士
グラフは35mmだが、ブローニーや4x5、8x10はどうなのか?

富士フイルム
大・中判の方が若干減り具合はなだらかになっているかという程度で、基本的には同じ状況です。

需要と生産の体制について

操上和美
このグラフを見て、なるほどと感じた。現状のマーケットを見れば、このくらいの落ち方は驚かない。この数字では、23~24年が極端に落ちていないのはある程度安定した需要があるのかと思う。事業としては十分ではないのかもしれないが、このまま需要が安定すれば、企業努力で維持できないか? また、あと何年でなくなるのかの最終製造の事前告知があった方が、写真家側も違う努力ができるように思う。不安に思っているよりも、はっきり言ってもらった方がいい。いずれにしても相当な覚悟をしなければならないことは理解できる。

富士フイルム
生産体制をどうするべきか、日々考えながらやっています。原材料の買い付けにしても、長いスパンで見てまとめて購入するなど、工夫ができることは全て考えています。操上さんのおっしゃるように、最終製造の事前告知が早い段階で実施できることは、お客様のメリットになる方向なので、何らかの形で実施できれば良いと考えます。

操上和美
通告があれば、自分達写真家が動いて、例えばネットで購入者を募るなどできるんじゃないか。これで、最後と言われれば、欲しい人から注文が入るので、その繰り返しでなんとかできないか?

富士フイルム
興味深いご意見だと思いますが、国内向けだけでなくワールドワイドでの実際の生産数量にインパクトを与える数量が募れないと、メーカーとして実施することは難しいと考えます。 個人的には、突然やめるということはやりたくなく、皆さんに出来る限りご迷惑をおかけしないようなやり方を探っていきたいと思います。

富士フイルム
写真文化を守りながら、フィルム生産を事業として維持していく努力をこれまでも続けてきています。例えば、カラーフィルムの塗布機は、アメリカとオランダを停止し足柄のみとしました。また、この他にも、生産効率の向上や経費節減、更には構造改革の実施など、数年にわたり製造体制維持に努め、懸命なコスト吸収の努力を図ってきました。その上で、長くフィルムを残すためにも、従来のフルラインアップを今後もずっと残していくのは難しく、やむを得ず止めざるを得ない品種が出てくる可能性もあります。現場でも、文字通り「身を切りながら」体制の変更をやっていることも、ご理解頂きたいと思います。

広川泰士
技術者の高齢化はどうか?若い人に技術の伝承はされているのか?

富士フイルム
トータルで見ると、人的な資源のウエイトを新規事業にシフトしており、若手は別の分野を支えることがメインになりつつあります。しかしながら、銀塩材料の生産を支えるためにもキーマンは必要で、ベテランや中堅の技術者も含めたこれらキーマンにより、必要な技術の伝承が成されるように工夫しています。

広川泰士
設備で作るものでも、人間の職人技が必要とされると聞く。人が育成できないと、将来が不安になる。

広川智基
一度、製造を終了してしまった製品を復活することは、技術的に可能なのか?例えば、ネットで募って、出資した額によって配分するとか。

富士フイルム
一旦製造を終了した品種を復活することは、まず出来ません。生産を終了した製品は、経費節減のためのあらゆる企業努力を行なっても生産経費の吸収ができないほど規模が著しく小さくなったものや、原材料の調達ができなくなってしまったもの、製造設備を廃却してしまったものなので、復刻できないことはご理解頂きたいと思います。

富士フイルム
営業部隊として、日々お客様からのお声を直接頂いており、理解はしているつもりです。そもそも写真が好きで富士フイルムに入りましたので、個人的には何とかしたいとの思いはあります。

広川泰士
ポラロイド社の工場をインポッシブルが買い取った。製造を始めたが、同じ機械と手法でやっても以前の色や質感がなかなか再現せず、3年くらいしてようやく軌道にのったと聞く。「人」に依存する部分なのかもしれない。1回止めてしまうと、大変なのはよく理解できるので、何とか継続してほしい。また、製造の終了が決まってから通告されることが、ユーザーとしてはかなり一方的と感じる。企業としては、難しいかもしれないが、事前に相談して欲しい。 ところで、コストの安い国に工場を作って、コストダウンして作り続ける可能性はないのか?

富士フイルム
需要の減少という構造的な問題があるので、根本的な解決策にはならないと思われます。また、装置産業なのでとても大きな投資が必要になりますし、写真フィルムは生産技術の粋を集めた製品なので、技術的にもコストの安い国で作ることは出来ないと思います。

広川泰士
出荷前、冷凍保存はされるのか?また、賞味期限は、冷凍保存によってのびるのか?

富士フイルム
冷凍して保存するものもあります。基本的には、感材は温度が低ければ性能は維持できる方向です。リバーサルでは製品にもよりますが、冷凍で5年以上実質的に保管が可能かも知れません。しかし、経時変化で防げないのは自然放射線です。これは、自然界に降り注いでいる宇宙線などで、鉛の保存庫にでも入れない限り冷凍しても時間とともに徐々に被ってきます。

広川泰士
多少感度が落ちても、事前に確認して使えばいいので、がちがちに品質管理することよりも、「残す」ことを優先してほしい。

富士フイルム
世界中のお客様がお使いになる上で、当社の規格から品質を落とすことは出来かねます。フィルムは現像して初めて性能が分る「信頼の製品」なので、品質を守ることはフィルムに携わる社員のDNAとして刻まれています。写真を知り尽くしているプロの一部の方は、「続ける、残す」ために、品質を理解して使っていただけるかも知れませんが、アマチュアや海外ではクレームになるなど、お客様にご迷惑をおかけし混乱させることになると思われます。

最近販売を終了した製品のこと

レンブラント(バライタ印画紙)クイックロード(4×5フィルム)システム

三好耕三
バライタ印画紙「レンブラント」の製造販売を終了されました。世界でも類を見ない立派な品質の印画紙で、先日も最後のロットを使用して個展を開催した。これをやめてしまったのは大変残念で率直に理解しがたいが、どのような判断なのか?

富士フイルム
もともと当社の印画紙販売が国内だけになっていたことより、販売量が限られていました。印画紙事業全体を継続するために、残念ですが、採算のとれなくなったバライタ印画紙をやめざるを得ませんでした。 小ロットで生産できれば良いのですが、生産装置の規模がピーク時に合せてあるので、現実には作る量に対して膨大なロスが出てしまいます。試験機としての小さい製造機もありますが、商品としての品質を確保することは難しいです。

三好耕三
アメリカなりヨーロッパなりの大きな海外マーケットで売れば、国内で微々たる数であっても、もっと売れたのではないかと何年も前から御社には、再三提案してきたが、フィルムは海外で販売しているのだから、印画紙も拡販する努力をして欲しかった。

富士フイルム
販売チャネルのことなども含めると、事業的観点からどうしてもできない状況があったと推察してください。

三好耕三
今度私がやる個展は、レンブラントの最後のロットを使ったものだ。作家にとっては、バライタこそ残すものとして選ばれるべき商品だったと思う。

広川泰士
率直に、メーカーは製品が現場でどのように使われているのを理解されているのか、疑問を感じるときもある。レンブラントもそうだが、クイックロード(以下QL)の終了も私にとっては痛い。暗室でフィルムを装填する面倒くささから解放してくれるだけでなく、山を登ったり、荷物を軽量化したいときにQLは素晴らしいものだった。フィルムだけ持っていて、ホルダーはスペアを入れても2個あればいい。飛行機に乗る時にシートフィルムは、X線を通せないために必ず空港でひと悶着ある。つまり、箱を開けるか、X線を通すかどちらか。QLだと見せればいい、納得してくれる。そういう利点があったのに、時代の流れに逆行していると感じる。アマチュアを含め、4X5ユーザーが激減しないといいのだが。継続の努力をして頂きたかった。

片桐飛鳥
QLがないと、大判フィルムをこれから始めたいという人にとってハードルが高くなり、遠ざけてしまったのではないか。シートフィルムでわざわざ撮るということは、それ自体労力もスキルも必要だが、さらに、フィルムの暗室での装填は大変。40代、50代になって人生に余裕が出てきて、昔からやりたかった大判写真に初めてトライしたいと思っても、挫折してしまうのではないか。20歳くらいまでなら、トライするだろうが。

泊昭雄
うちはプリントしかしないとスタッフに伝えるくらい、フィルム撮影が主。ラボからQLがなくなったと急に連絡を受けた。ホルダーを用意しなければならない。心構えが必要なので、事前に一言あると助かる。

中藤毅彦
17年前に初めての個展を開催し、それ以降、スーパープレスト1600というモノクロフィルムを使い続けてきた。ざらっとした質感が、トレードマーク。世界で一番自分がそのフィルムを使ってきたんじゃないかと自負するほどそれしか使っていなかった。ここ何年か、スーパープレストで撮ったものをレンブラントで焼いてきたが、それが生産終了になり、作風自体が再現できなくなってしまった。
400のプレストを残して、それ以外を切り捨てていくということは企業として仕方ないのかもしれないが、自分の作風ができなくなってしまったというのは、自分の表現ができないということ。それが企業次第なら、継続している製品でなんとかするしかないが、直にお伝えしておきたかった。いろいろな雑誌に、さよならスーパープレストという特集にも寄稿した。
今さら言っても仕方ないけど、そういう人もいるということを知ってほしい。

次の世代の銀塩写真ユーザーを育てるために

森本美絵
企業努力として、下げ止めるためには新規ユーザーを獲得するしかない。どうやって新規ユーザーを獲得していくのか?暗室がなくなってきている。若い学生たちはほとんどデジタルカメラ。フィルムカメラを見たことない人たちが増えている。学生や若い人はお金がなくて印画紙に焼けないので、4x5や6x7で撮ったものを自分でデジタル化して家庭用プリンタで出力したものを作品にしてブックに入れている。GSSの展覧会で見て印画紙はきれいだと思っても、自分でやったことがなければわからない。都内の高校で写真を教えている友人がいるが、印画紙の美しさなどを知れば中古のカメラを買ってフィルムを詰めて街に出たりする。専門学校や大学などいまから写真をやる若者に対して何かしらフィルムを触る機会を増やす、触らせる、教える。平間さんもレンタル暗室をやっているが、見て触り、現像する機会をつくれればよいのではないか。

富士フイルム
会社としても学校教育の現場への協力は継続的に行っています。例えば、全国の高校文化系部活の総文連では、指導者の先生方のための暗室ワークショップを毎年5県ですでに10年実施していますし、日本写真家協会の会員さんが年間50校を訪ねて写真の課外授業を行う「児童学習プログラム」に「写ルンです」を協賛、すでに7年間1万人をゆうに超える小学生が受講しています。専門学校や大学の写真展、ワークショップにも協賛しています。また、子供向け雑誌に特殊な「写ルンです」を付録につけるタイアップもしています。 これらの結果が、実際の売り上げとしてなかなか追いついていかないのが現実で、個人的には忸怩たる思いがあります。

中藤毅彦
今年から東京造形大で講師。埼玉の高校の写真部のゲスト講師などやっている。フィルムで撮って暗室作業をすると、ほぼ全員がやってみると興味持っておもしろがってやってくれる。自分で暗室つくりたいという子もでてきたり。敷居が高いと思われているがやってみる価値はある。小さいお子さんにも効果があるだろうが、10代は需要に結びつく層、ここが重要な世代。この世代にイベントなどで啓蒙していくのが重要だと思う。

広川泰士
GSSの活動の一環で、当初から都写美や日写芸の暗室を借りて富士フイルムさんの感材提供でワークショップを行っている。地道にやることで輪が広がっている。都立高校で行なった恒例のワークショップでは、撮影、現像、プリントを2日間かけて行なう。参加写真家の協力もあり、始めてフィルムをいじる子供たちが多く参加。参加者のなかで始めてフィルムで撮影し、現像して、露出オーバーで真っ黒になったネガを、三好さんの助言で5分くらいの露光でやっとプリントした子が、よほどおもしろかったのか、今年、工芸大の写真学科に入った。フィルムをさわったことも興味もなかった子が写真を学びたいと思ってくれた。また、同じ高校から桑沢デザイン研究所に行った子がいるが、昔あった暗室がいまなくなってしまった。やりたいんだがどうしたらいいか相談を受けた。貸し暗室にいくしかないが、富士フイルムで貸し暗室をやったらどうか。協賛もいいが、マーケットを拡げる意味で場をつくることが必要なのではないか。

平間至
GSSの最初からのメンバーとして、イベントなどを通じて多くの人に見てもらってきたが、フィルムの魅力を体験する日常の行動になかなかつながっていかない印象があり、3年前に浅草にPippoという貸し暗室をつくった。小さいスペースではあるが、お客さんがどんどん増えてきていて、広がりは確実に見せている状況。場をつくるということが必要ではないか。イベントも大切だが、どんなに楽しくても終わってしまう。だから、それとは別の次元でフィルムの楽しさを経験できる場所を富士とGSSと共同でつくるとか。例えば、廃液をどうするかとか、今後いろいろな意味で個人でやるのはハードルが高くなる。フィルムの一度その楽しさを知ってしまった人がデジタルに戻ることはほとんどない。我々写真家とメーカーが、別々でなく一緒にやっていける場があったらいい。

富士フイルム
TV番組「カンブリア宮殿」で弊社が紹介された時も、子供たちがフィルムを見て「これなあに?」と聞くシーンにショックを受けました。足柄のメンバーも有志で、地元の小学校などで教える活動をしていますやれることはまだあり、一緒に考えて行きたいと思います。

思い出をカタチに(震災から学んだこと)

富士フイルム
プリントというと、東日本大震災の時に、水没したプリントを救済するプロジェクトを会社を挙げて行いました。自衛隊らが拾い集めてくれたアルバムなどから、汚れたプリント約17万枚を工場の体育館に運んで、OBらが真夏に集まり、洗浄して返す活動を行ないました。綺麗になってご本人の手元にもどれば喜んでもらえ、この活動を通じてプリントの大切さを改めて感じました。

平間至
私は塩竈出身だが、震災10日後、何もなくなった家の土台のすみにアルバムが置いてあった。マニュアルがない時点でも、自衛隊の方たちが自主的に拾って置いていってくれた。写真は人間にとって大切な文化だと実感。デジタルは、撮ったはいいがプリントしないのが現状で、瞬間を残すことに矛盾している。フィルムがなくなるということは写真文化自体がなくなることなのではないか。人間の情緒のどこかが欠けていくのではないか。フィルムが残る残らないという話よりも大きな問題を含んでいると思っている。

富士フイルム
震災の写真洗浄のプロジェクトで各地を回って実感したことは、デジタルデータはデータでしかなく、そのままでは消えてしまうかもしれない危いものだということです。プリントレス化は、将来的には大変不安。だから、「思い出をカタチに」と、会社として取り組んでいる最中です。

広川泰士
瓦礫のなか、アルバムや写真を探す家族をたくさん見かけた。空気のように普段は感じてないが、なくなって写真の大切さを始めて感じる、デジタルは電気信号。実態がない。プリントで残すべき。

GSSメンバーからのメッセージ

藤井保
15年前にプリントした印画紙と、今ある印画紙を比べてみると、15年前の表現は今の印画紙では再現できない。黒の色や、銀の量とか。進化していなくて、退化している。富士フイルムに限らず、需要が落ちていく産業に対して研究開発など取り組めなくなりますよね。人材も研究も。フィルムを維持するという話をしているが、今より良くなるなんてことは、まず期待できないんじゃないでしょうか。空しい話だが、昔のプリントの方が味わいがあった。

中野正貴
このグラフは、どんな産業でも同じ状態。改善できる人はいない。そうなったときに企業として富士フイルムという御社の名前からフィルムが消えてしまう可能性がある。そういう状態にきているのが現状。どれだけ腹をくくってもらえるのか。採算とろうと思ってもできないと考えたほうが現実的。フィルムを使う人を増やすのは非常に難しい。企業として残す意志はどれくらいあるのか。局地戦など、それぞれ努力するのはわかるが、どう考えても解決策が難しい。何名がフィルムや印画紙に携わっているのかが気になる。企業として生き残らなければいけない。文化として残す意識がどれくらいあるのか疑問。

富士フイルム
フィルムを残していく意思はあります。写真文化を守ることは当社の使命だと考えます。

三好耕三
コダックは写真の歴史をつくった。富士フイルムは何をしてくれるか楽しみにしている。

瀬尾浩司
デジタル事業部や化粧品など他の事業部も含めてフィルムを残すという話ができればいいと思う。フィルム事業部だけで完結するのは重い課題なのではないか。

本城直季
商業的ベースでやってきたが、文化・芸術的な面でアピールしていかなくてはならないのかなと思う。一企業だけで抱える問題ではなく国単位で考えていく問題なのかも。品質絶対じゃなくても、こだわる前に少しでもまずは残すこと。少量生産のフィルムで新しいフィルムの可能性も楽しめるのではないか。デジタルはきれいだが、フィルムが持つ自然でコントロールできない部分など新しい銀塩表現にチャレンジできたらいいなと思う。

井上佐由紀
今の子供は、カメラを構えているとカメラの後ろ側を覗きにくる。フィルムカメラを見たことがない世代。個人的な作品はフィルムでやりたい。難しい部分があると思うが、すばらしい人たちが集まっているGSSを通じて、日常に沿った部分を考えていけたらいいなと思う。今この場に来れてよかった。

村越としや
フィルムヤバいという話は写真をやっている者はみんな知っているが、写真を知らない人でも危機感を持つように「ヤバい、ヤバい」と言い続ける。

小林昭
こんな話しをしなくちゃならない日がくると思わなかった。皆さんの話を聞いて、フィルム写真しかやってこなかった者からすると感傷的になっている。年とったせいもあるけど。 僕たちにはどうしようもないが、ともかくこの4、50年写真をやってきてこれほど楽しいことはなかった。それをこの時代で終わらせてしまうことは文化の損失だと思う。どうにか、これからの人たちに、フィルム写真を残していきたいな。大企業の人たちがいちばんできることだと思う。富士フイルムはもっとも写真に携わってきたと思うが、僕からももう一度残して欲しいとお願いしたい。

TCK(水谷社長)
フィルム、印画紙には個性がある。各メーカーが同じようなものを重複して作っている。ラインアップを補完しあうための話し合いはできないのか?

広川泰士
コダックはリバーサルやめたが、富士としては残せそうなのか?

富士フイルム
リバーサルは、写真界にとって大事な商材で、残していきます。

広川泰士
あっという間に時間が過ぎたが、今回1回だけでなく、今後も継続的に写真家と富士フイルムとの意思の疎通をしていきたいと思う。今後ともよろしくお願い致します。

Outline

Date

2012/10/15(Mon)
18時~20時

Place

富士フイルム社内会議室

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