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[八木清作品展「Silat Naalagaq〜世界に耳を澄ます」]

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八木清は、15年以上にわたってグリーンランドやアラスカの厳しい極北の地で自然と共存するエスキモーやアリュート、イヌイットの人々の生活様式、独特の文化や自然風景を撮影しながら旅を続けています。

本作タイトルの「Silat Naalagaq(シラナーラガ)」はグリーンランド北西部のイヌイットの間で日常的に使われている言葉で、直訳すると「天気が親分だ」という意味を持ちます。

極地で狩猟や漁、特にアザラシやセイウチ、鯨類などの海洋動物を主に獲って暮らす彼らにとって、天候の変化は死活問題であり、一度天候が荒れれば数日間、酷ければ数週間、狩猟や漁に出かけられなくなることは珍しいことではないそうです。

写真集のタイトルにもなった「sila」と言う言葉には、天気や気象の意味の他に「外」「空気」「大気」「世界」「知性」「知恵」等の意味があり、また古い時代には「大気の精霊」の名でもありました。写真家として極北の地に暮らす人々と、彼らを取り巻く自然と対峙することは、すなわち厳しさ、豊かさ、美、儚さ、叡智といった目には見えないものの在り様を、人々の顔や自然の光景を通してネガに写し取ることです。長い時間をかけて誰かの手になじんでいったのであろう古い道具や、深い皺の刻まれた顔貌、距離感がわからなくなるほどの壮大な風景。それら被写体を通して八木はまさに世界に耳を澄まし、「大気の精霊」の存在を見ていたと言えます。

1994年から2012年、ほぼ毎年通った場所から約2年遠ざかることは「創作、写真とは何か」「世界とは何か」「存在とは何か」という問いを改めて考えるきっかけとなり、「思想的な熟成期間になった面があるように感じている」と語っています。

撮影の現場では、プリントにどう仕上がってくるかと言うことを考えて撮っていると言う八木にとって、持ち帰ったネガをプリントに仕上げることは「撮影していた当時の自分まで遡及して現在の自身のあり方を思い返すことでもある」と語っています。今回、未発表も含めた本作を発表することは、今までの撮影のひとくぎりであるとともに、もう一度新たな気持ちでsilaの世界へ赴くためのひとつの完結の作業でもあります。

本展では1994年から2012年にかけて撮影した中から、アナログで拡大ネガを作成し、大判のプラチナプリントを制作、それらに未発表作品を含めた20余点を展示いたします。(公式サイトより)

Outline

Date

2015/01/09(Fri)-2015/02/28(Sat)
月 - 金 11:00〜19:00
土 11:00〜18:00
日・祝日休廊

Place

フォト・ギャラリー・インターナショナル
東京都港区芝浦4-12-32

入場無料

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