『PEACE LAND』シリーズをはじめ、水平線の広がる風景を収めた写真作品を通して色彩や光の世界を探究し続けてきた蓮井幹生。さらに昨年の写真展「for yesterday」では、自らの家族を撮影した作品群で新境地を開拓しています。
長らく受動的な在り方で対象と対峙してきた作家は、自らの人生や家族という主題に取り組むことで、その受動性の根源に向き合いました。そうした転換を経て、今回は具体的な事物を扱う能動的な制作に取り組み、作家としての新たな地平を開拓しています。
本展「無常花」の主題は、蓮井が長年撮り続けながらも作品のモチーフにすることのなかった「花」。自然界が生み出した造形物である「花」と、大量生産された人工物である「ペットボトル」との間には、生と無生、美と機能、無常と不朽といったいくつもの対比が見出せます。しかし蓮井自身が述べるように、そんな対照的な二つの存在でさえレンズの前では等しく単なる「物の写像」として収められてしまうところに、写真というメディウムの妙味があるのでしょう。
生体から切り離された「切り花」は、ただの物質にすぎないのか。その物質性は、人工物であるペットボトルのそれと同じものだと言えるのか──。
花の持つ繊細な造形や色彩と、ペットボトルの放つ鮮明な反射光とが調和した表層の奥には、そんな問いかけが潜んでいるようにも感じられます。写真家 蓮井幹生の新境地となる作品群を、この機会にぜひともご高覧ください。
概要
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2021年07月07日(水)-2021年08月01日(日)
営業時間:木、金、土、 13:00〜19:00 ※7月7日(水)と8月1日(日)は開廊しています
- 会場
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WHYNOT.TOKYO
東京都目黒区五本木2-13-2